先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会にて
データ復旧サービスとは?
何らかの障害が原因で、正しい読み込み・表示等が出来ない電子記録媒体及び、その電子記録媒体上に存在する電子書式(ファイル)を、その内容、正誤、可用性に関わらず、その電子情報の存在する電子記録媒体、及び電子書式固有・特有の論理に従って、再利用を目的として回収、返却することが目的です。
データ復旧会社の歴史
海外のデータ復旧会社
1989年 Action Front (現Seagate Recovery)
1990年 Ontrack (現Kroll Ontrack)
日本国内のデータ復旧業専門会社
第一世代
1994年 Ontrack Japan(ワイ・イー・データ)
1995年 アドバンスデザイン
第二世代
2000年 データサルベージ
データレスキューセンター(アラジン)
大阪データ復旧
くまなんピーシーネット
富士通インターコネクトテクノロジー
データ復旧作業はパソコンなどのシステムの修理ではない
例えばパソコンのハードディスクのデータ復旧を行い、全ての情報(データ)が復旧、回収され、別の新しいハードディスクに書き込まれて返却されても、そのままの状態で元のパソコンに組み込んだとしても、パソコンやインストールしてあったアプリケーションの動作については全く保証しているものでは無いのです。
ハードディスクなどの媒体の修理ではない
データ復旧業者は、ハードディスクなどの電子記録媒体を、故障しているものであれば、専用の設備・機器・部品などを使うことによって一時的にでも動作させたりすることによって、データの回収を図ります。この為、ハードディスクなどの機器の修理を行っていると誤解する方も中には存在するようですが、修理を行っている訳ではありません。
一時的にでもデータが回収できるように、最低限の処置を行い、動作させるだけなのです。
データ復旧の技術
データ復旧専門会社だからといって、ハードディスクの製造会社から部品や技術情報を提供されているのでは無く、独自に技術情報の解析などを行って、製造会社や、機種、製造時期に関わることなくデータの復旧に対応できるように日々努力を続けることが必要なのです。
ハードディスクの現状
ハードディスクは、1年間で6億台を超える台数を、世界中でほんの数社で生産しています。そして、その部品の供給、技術の開示は一切行われていません。 価格競争が激しいので、コストダウンにつながる設計変更は可能な限り早く行うことが、ハードディスク製造会社の利益に直結するのです。仮に修理、保守用の部品を在庫するとしたら、膨大な費用が必要になります。ですから、一度市場に出てしまった製品は、修理することなく、製品の保証といえば、記録されているデータの価値に関わることなく、新品に交換することになるのです。
ハードディスクのデータ復旧
ハードディスクは毎年容量が増加していますが、一台あたりの価格はそんなに変わりません。本来的には、容量が増加すれば、ヘッドやプラッタに対する要求特性が、どんどん厳しくなり、それに従い価格も上がってしまうはずです。それが、上がらずに維持できるのには理由があります。
部品のランク分けとファームウェア
ヘッドやプラッタは、部品の特性によって、多くのランクに分類し、各々のランクを組み合わせ、さらに専用のファームウェアを用いることで、使用可能な範囲を拡大しています。 更に、その部品の最大容量で使えない場合は、少ない容量の製品に廻すようなことも行います。このために、メーカ、型番が同じでも、製造ロット、製造工場などが違うと部品の互換性が保証されないのです。PC-3000のような特殊な設備が必要になる理由もここにあります。
壊れたデータを直すのではない
データが文字化けしてしまった場合に元の文字化けしていない状態にするとか、壊れた画像を元の状態に戻すとか、壊れたデータベースのファイルを元の状態にするとか、色々な問い合わせを受けることもありますが、それらは全て「データ復旧」の範疇を外れたものになり、強いて言うのであれば、「データ(ファイル)修復:壊れたデータを直す」ということを追加・オプション作業として、別のものとして区別することが必要です。
ファイル修復の限界
例えば、WordやExcelのファイルの中から、文字列だけをTEXTで抜き出すとか、Accessのファイルの中からデータテーブルやクエリなどを、壊れたデータの残骸から、そのファイル特有の論理に従って部分的にでも抜き出すことです。
完全に壊れ、失われてしまった場合、また壊れて失われた部分が存在する場合は、その箇所を補完することは出来ませんので、一部空白にする等の処理を行うことになります。
間違いの無い補完の出来る人は、元のデータを良く知っている人、そのデータを作成した人以外には有り得ないのです。