論理障害とは?
データリカバリという言葉を知っている人であれば、ほとんどの人は「物理障害」、「論理障害」という言葉を耳にしたことが有るだろう。しかしながら、データリカバリ業者のWebサイトを良く見て見ると、時に「倫理(りんり)障害」と書かれていることがあることに気がついた人も有るのではないだろうか。
なんだこれは? HDDにも心があり、障害を起こしたことに責任を感じるのか??? (笑)
ここで、この指摘がどのデータリカバリ業者のサイトであるかについて指摘することは避けておきます。その「データリカバリ業者」の名誉にかかわることなので・・・
まあ、そんな業者を信用する人はいないと思いますが!
さらに、個人運営のサイトで、 【MBR(マスターブートレコード)】の説明の中で、以下のように誤った説明をしていることも有り、本当のホントについて、理解している人は少ないのではないでしょうか。
=====引用開始=====
HDDが正しく動作しないで何度も繰り返し読みに行く動作を繰り返すのはこのMBRのデータが壊れている為です。
ヘッドが何度もストッパーに繰り返し当たるため、「カコンカコン」などの音が発生します。
ヘッドが繰り返し動作するうちに磁気ディスクに傷が付くなどの重症に移行する場合があります。
重症になると、物理障害となり、データリカバリが可能であっても高額請求の対象になります。
このMBRのデータが磁気的に壊れているだけであれば、論理障害といえます。
《異音がする=物理障害》ではないという認識の根拠となります。物理障害と思い込んでいる客に対して、本当は論理障害であるのに物理障害として高額請求してくる悪徳業者に騙されない為の基礎知識といえます。
=====引用終わり=====
誤:HDDが正しく動作しないで何度も繰り返し読みに行く動作を繰り返すのはこのMBRのデータが壊れている為です。
ヘッドが何度もストッパーに繰り返し当たるため、「カコンカコン」などの音が発生します。
正:ヘッドが何度もストッパーに繰り返し当たり、「カコンカコン」などの音が発生するのは、HDDのデータの書き込まれているトラックの位置を検出することが不可能になっている状態で、既にヘッドかプラッタ上の磁気記録データに障害が発生するなどして、ヘッドが正しくデータを読み出すことが出来ない状態(トラッキング不能)になっている為です。(最近のHDDでは、ファームウェア障害の場合もデータの読み出し障害となり、同様の症状を発生することがある。:物理障害)
何度も繰り返し読みに行く動作を繰り返す(リードリトライ)は、データを読み出すことが出来ないので、ヘッドを基準位置(通常トラック0)に戻し、そこから指定されたトラック位置にヘッドを移動させ、データの読み出し試行(トラッキング動作)を繰り返す。ストッパーはトラック0位置を定めているものでは無く、リードリトライ時にヘッドがストッパーに繰り返し当たることは無い。MBRのデータに損傷があるだけでは、異音は発生しない。
データが磁気的に壊れている=データは読めるが化けた・間違っている場合
データ書き込み時に壊れた場合:論理障害
データ読み出し時に壊れた場合:物理障害
データが磁気的に壊れている=データが読めない場合 全て物理障害
ですから、異音が有ろうと無かろうと、リードリトライが発生すれば物理障害の可能性が非常に高くなります。異音「カコンカコン」がするのは、リードリトライよりもさらに悪い状態の可能性が大きいのです。
《異音がする=物理障害》は間違いではありません。
間違った情報を信じると恥をかくことになるので、ご注意の程!
では、HDDにおいて「論理障害」を一言で言うと?
データリカバリ業者の団体である「日本データ復旧協会」http://www.draj.jp/のサイトでは、以下のように説明している。
=====引用開始=====
論理障害(ろんりしょうがい)
ファイルの誤削除や誤フォーマット等によってファイルのアクセスに支障がある場合を指します。
HDDには物理的な障害がなくても、ファイルシステムの障害でファイルにアクセスできなかったり、OSが起動しなかったりする事をさします。
=====引用終わり=====
さらに分かり易く説明したいと思ったのですが、正確に間違い無く説明するためには例外事例まで含める必要があり、かえって誤解を招く可能性が高く、「HDDには物理的な障害がなくても、ファイルシステムの障害でファイルにアクセスできなかったり、OSが起動しなかったりする事をさします。」以上に分かり易く誤解され難い説明は残念ながら思いつきませんでした。