データ復旧・データ消去技能者の個人ブログ

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安価と高価なデータ復旧会社の違い-その1

更新日:

障害が起きたパソコンからデータを引き上げて納品をしたらメーカーが対応してくれないから「ブレイバーさんは助かる」と言われた。相場と言うものがない為通常の修理料金より差別化を行い高い修理料金を設定(現在もデータの価値=高い復旧予算)できる。※1

何よりお客様から喜ばれるサービスだった為、自分がパソコン修理の人間だったが、データ復旧の技術者になろうと思ったのがここある。

はじめに

10年くらい前に仙台で起業したての頃の話。Windows95 が立ち上がらなくなりブルースクリーンになったハードディスクをマザーボードのATAコネクタに直差し。(今の時代の用にKNOPPIXやLiveCDがなかった)用意をしていた別な正常動作できるWindowsからデータをWindowsの標準操作でコピーし吸い上げていた自分がいた。

だが、上の工程は現在の当社では行わない。(別途 当社ホームページのデータ復旧技術紹介を参照)

障害が起きている該当のハードディスクをつなげ、Windowsからアクセスする事により状態が悪化させる(最悪 復旧できなくなる)恐れがある為だ。

障害が悪化する理由の一つ

Windowsが立ち上がりブルースクリーンを表示してしまうケースについては 「論理障害」と「物理障害」の両方ともに当てはまる。

ブルースクリーンはデータ復旧で言う論理障害と断言している様な説明をちらほら見かけるが、はっきりと間違っていると言いたい。物理的に回復もできないバッドセクタ(注意 HDD Regenerator も良し悪し)ができている為、どうやっても読み込めない事があるからだ。(人間で言う癌の1種みたいなもの)

論理ないし物理的にできたバッドセクタをWindowsが、システム、レジストリ、アプリケーション、ドライバなどのファイルを読み込めずにエラーをディスプレイ上にプリントしている。それがブルースクリーンのエラー内容の一つ。

Windowsはハードディスクにセクタ読み込みの信号(ATAコマンド含む)を送り、ハードディスクは製造元のファームウェア・プログラムの仕様によりそのバッドセクタを何度も読み込み(リトライ)に行く。(リトライの動作もメーカー、モデルナンバー、ディスクの種類 などによって変わる場合もあるし変える事もできる。)

ハードディスクは読み込みリトライを繰り返し行う事によりハードディスクのヘッドなどに負荷がかかりヘッドが壊れるケースもある。ヘッドリトライを起こしているハードディスクを一度触っていただきたいが通常温度よりも発熱しているケースが多い。

イメージを作り上げる

障害が起きている記憶媒体から解析を行うと上記の様なヘッド交換作業の追加や最悪プラッターに傷(スクラッチ)を付けるなどと言う大きなリスクが存在する為、全く同じイメージ(ハードディスクやディスクイメージファイルなど)を用意し、全体のセクタが正常に読めるイメージから解析を行い抽出していく。

(コンピューターフォレンジックの業界も同じで 「証拠保全」 と言う作業があり、フォレンジックでも同様にデュプリケーターなどで全く同じイメージを作り上げている。障害のディスクに対し手を加えた痕跡を残さないようにする為と状態を悪化せず解析を行う為だろうと思う。)

そのバッドセクタが出ているハードディスクからイメージを取る作業にコストがかかる。

クローンを作り上げる = 復旧率の高いデータ復旧を目指す為(最重要なデータ・ファイルに落ち度がない様に)の地盤作りと言える

バッドセクタからイメージを取る方法は単にスキップすれば良いと言う物ではない。当社が行っている方法では下記の複数の方法がある。

  1. ハードディスクの読み込みセクタ数(バッファサイズ)などに手を加える方法
  2. 完全に読み込めないバッドセクタをスキップしていく方法
  3. 読み込めたセクタと読み込めないセクタをカウントし、読み込めなかったセクタからその後読み込めるセクタを探し出し、見つかったセクタから再度クローンをして行く様なアルゴリズムを構成する方法
  4. クローン中の障害ディスクに負荷をかけない方法を設ける

1と2はフリーソフトや市販ソフト(パーティションツールやディスクツールなど)Unix系のコマンド(dd dd_rescue)、デュプリケーターなどでも行えるが、3以上ができなかった場合はどうするか?

ここで公開はしないが、123の方法+4以上の方法を使って当社はクローンイメージの作成を行っている。
当社については少し 口滑らしておきますが、専用アルゴリズムを最近ソフト化しました。「コードネーム Masamune」(笑)

まとめ

安いデータ復旧業者

  • クローン作業(イメージの作成)を行わない
    人件費・クローンをする為のラインの設置や機器に対する投資が必要ない
    クローン後にイメージディスクを消去する作業などのコストがない
  • クローンについての技術力がない
    技術力に対する機器や人件費などの研究投資コストが必要ない
  • クローンを取得した媒体のセキュリティ管理
    保管場所の設置、ランニングコストや、人員の教育のコスト

デメリット

  • 該当の重要データが解析しても出てこない場合がある
  • 重要データが破損しているケースがある(文字化けや大規模なデータベースになれば誤作動を起こす可能性がある)
  • 2度と復旧できなくなる場合がある。

などなど

この工程を省いた場合 いくら安くなるのだろうかは皆さんに連想いただくとして、100%の復旧率を目指すために行う技術力に対する投資はピンキリであり、クローンの段階でも必要だという事をお伝えしておきたい。

以上

 

参考サイト

クローンディスクを作成する | ハードディスクデータ復旧実績白書

当社データサルベージのクローンディスクに関するコラム

新ラボ紹介 : データ復旧のオントラック

私も尊敬しているオントラック社のデータ・サーバー室にあるラックマウントサーバを注目していただきたい。(仮想ディスク・イメージ・サーバー)
2007年にして80TBのイメージを格納するサーバを持っている。

追記 2011/02/27

※1 については誤解を生む文言の為、次回にしっかりと説明できるようにしておきます。

追記 2011/03/06

バッドセクタによるファイル欠損サンプル

次回につづく

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