地震が起きた場合の各記憶メディアの一部 障害事例を列挙していきます。
ハードディスク(HDD)
地震における振動により ヘッドがプラッタを損傷してしまうケースが挙げられます。不良セクタ(バッドセクタ)の影響でプラッタ上にスクラッチと言われる傷を残す事によりデータを救出できなくなるケースがあります。
また停電により、電源装置の放電がしっかりと行われない場合、電源を入れた際 電源装置から許容範囲を超える電圧がハードディスクに通電され、PCB(制御基板)などの部分に物理的な障害を引き起こします。通称:焼け焦げ 発火 などと言われてます。UPSなどの設置を呼びかけられる理由の一つです。
水没したハードディスクについては プラッタ表面に不純物が付いてしまう場合があります。不純物を取り去らず通電させる事によりヘッドはプラッタを傷つけてしまう為 不純物を取り去る作業が必要となります。取り去る為には水没のケースによって(雨、海水、河水など)様々な溶剤を使いプラッタを洗浄していく作業が必要となります。この作業には専用の洗浄機、専用溶剤などが必要となります。データ復旧業界では水没したハードディスクを乾燥させる事はタブーとされている理由が上記の不純物などが固化され除去作業に支障を来す為と思われます。
参考サイト:ハードディスクデータ復旧実績白書
NAS (メーカーブランド LinkStation TeraStation LANDISK)
停電により ファイル共有サービス(Sambaなど)などのシステムに障害を起こすケースがあります。ネットワークからNASを参照できなくなる理由がこれにあたります。NASにはUnix系OSが搭載されている事が多く(一部メーカーではWindows Storage Server なども搭載)、Unix系OSが起動した際 予期せぬ停電の為にOS自体が起動できなくなります。OSが起動できない理由は多々あり、このソフトウェア的な障害をデータ復旧業界では論理障害と呼んでいます。(物理的な不良セクタによるリードエラーは物理障害の可能性もあります。)
代表的な例だと LANDISK Tera のRAID崩壊モード。OSは起動ができているもののディスクそれぞれの4本のタイムスタンプ(日付)の誤差から整合性が取れない為、Unix系のソフトウェアRAIDシステムであるmd (Multiple Devices)が起動できなくなると言うトラブルがあります。TeraStationでも同様にmdデバイスが起動できない為、E14エラーなどの障害を引き起こします。
参考サイト:LANDISKデータ復旧実績白書 | TeraStationデータ復旧実績
RAIDストレージ RAIDサーバ製品
上記で筆記したNAS製品同様、論理障害を引き起こすケースと、単体のハードディスクの障害に起因するRAIDカードの論理障害が起きるケースがあります。複合的な障害になり復旧は困難になる場合がございます。
例えば、RAID5の最悪の事態として DISK1 DISK2 DISK3 の3台で構成されるRAID5 と障害時に代替するホットスペアディスクの計4台が常時稼働していた場合、DISK1,2,3のいずれかに不良セクタなどをRAIDカードは検出し、メーカーやモデルによってオートリビルド(自動再構築)がかかるケースがあります。
オートリビルドがかかった状態になると、自動的にホットスペアディスクにパリティ情報を元にリビルド作業が行われます。
地震などの振動の影響でホットスペアのディスクや障害ディスク以外のハードディスクに不良セクタがあった際、リビルドが完了せず終了してしまうケースなどがあります。
この場合復旧は大変困難かつ、解析に時間がかかる物になります。
オートリビルドをかけられた状態のログは基本的にはRAIDカードには残っておらず、どこまでのセクタをリビルドしたのかと言う調査と、リビルドを行わなかったセクタを照合し 障害前のArray を作り上げる作業が必要となります。
またRAIDカードのメーカやモデルによっては分散書き込みサイズ、書き込み順序、書き込み方式、Derayサイズなど多数に渡り仕様が異なる為 Arrayを作り上げる前にRAIDカードの分析を行う場合があります。RAIDカードの解析に時間がかかってしまうのも早急に復旧をさせる為の障壁になります。
Arrayを構築後、ファイルシステムを解析しデータを抽出する為 高コスト になる理由でもある事をご理解ください。
参考サイト:サーバデータ復旧実績白書